よこはまの司法書士日記

ブログをご覧いただきありがとうございます。横浜市瀬谷区の司法書士です。HPはこちらhttps://oasis-lawoffice.com/

フリーランス(免税事業者)の方向けに、インボイス制度の概要を調べたのでまとめます。 ②本題

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

さて、今日は前回のインボイス制度を理解するための前提知識を踏まえて、

インボイス制度が誰に対しどう影響するのかについて掘り下げたいと思います。 

 

 

前回記述した、前提知識は次のとおりです

 

1.消費税は消費者の支払った税金を事業者全体で分担して納税するという仕組み

 

2.消費税の計算には「一般課税」と「簡易課税」という方式があり、「一般課税」による計算を行っている事業者は、その仕入税額控除を行う際、「①帳簿」や「②請求書等」の記載、保管方法を守らないと仕入税額控除が使えない。これを区分記載請求書保存方式と呼んだ。

 

3.区分記載請求書保存方式が、令和5年10月1日に変更になる。これを適格請求書等保存方式(インボイス)という。

 

4.免税事業者は受け取った消費税については納税しなくて良い。

 

 

 

 

上記のまとめをご覧いただくだけで、インボイス制度とは何かお分かりになるかと思いますが、要するに、令和5年10月1日から消費税について「一般課税」による計算を行っている事業者が、これまでどおりの経理を行いたいのであれば、「区分記載請求書」ではなく、新たに設けられる方式の「適格請求書(インボイス)」なるものを仕入れ業者から発行してもらい、保管する必要があるのだ。という事ですね。 

 

制度の例外、細かい規定などは全て新消費税法国税庁のHPにのっていますので、そちらをご覧ください。

 

 

なぜこの制度がフリーランスに影響するのか?

 

ようやく本題です。制度概要についてわかったところで、フリーランスにどのように影響するのかについてが気になりますよね。 

 

ポイントは、「適格請求書」をどうやって発行するのかという点です。 

 

令和5年10月1日以降に「一般課税」による計算を行っている事業者と取引を行ったとしましょう。その取引先から突然このような要求をされることになります。 

 

 

取引先「適格請求書を発行してください。」

 

あなた「承知しました…(適格請求書ってなに?)」

 

 

そう思ったあなたは、どうやって発行するのかを調べますが、

 

適格請求書に記載する「登録番号」は、適格請求書発行事業者(期間内に税務署に申請書提出)でなければ付与されておらず、さらに、適格請求書発行事業者は課税事業者でなければならないというルールに気づきます。

[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続|国税庁

 

事前に申請を済ませておかなければならず、一朝一夕で適格請求書は発行できませんし、また後日適格請求書発行事業者になろうにも、わざわざ零細事業者の身でありながら課税事業者にならなければならなくなります。これは相当な痛手となる選択です。

 

そうなると、この時点であなたの取りうる手段としては、

「一般課税」による計算を行っている事業者に対しては、消費税を請求しないという判断になりそうです。

 

先の質問にはこう答えることになるでしょう。 

 

「適格請求書は出せませんので、消費税負担のない請求書を発行します。」

 

 

 

 

要するにどういう事???

 

一言でいえば、免税事業者は実質、増税されるという事です。

 

まず、「一般課税」による計算を行っている取引先に対し、適格請求書を発行ができないあなたが消費税を請求してしまうと、取引先に不利益を与えてしまう結果になるため、実質消費税を請求できません。つまり、消費税分あなたの商品すべてが半強制的に割引価格になります。

 

次に、消費税の仕組みで解説しましたが、消費税というのは消費者の支払った税金を事業者が分担して支払う仕組みになっていましたよね。その流れの途中で免税事業者は、適格請求書を発行する事ができず、消費税を事業者に請求できなくなるわけですから、免税事業者についてのみ、自ら消費税負担をしなければならなくなり、負担が増大します。

 

 

再度こちらの表をご覧ください。あなたが免税事業者である卸売業者だとしましょう。

f:id:shin-910710:20210716120559j:plain

わかりやすくまとめると次のようになります。 

 

① これまで

 

売上77,000円(税込)ー 仕入55,000円 = 22,000円 
2000円については免税されていましたので、このように2万2,000円が手元に残っていました。

 

② これから (令和5年10月1日~)

 

 「一般課税」による計算を行っている事業者との取引の場合

 

売上70,000円(消費税の請求不可)ー 仕入55,000円 = 15,000円

このように1万5,000円しか手元に残りません。事業者なのにもかかわらず、消費者として消費税負担することに加え、益税についても請求不可ですからもちろん発生しません。

 

免税事業者である卸売業者は上記表に従うと、一度の取引で実質7000円の増税となります。フリーランス、小規模事業者には相当負担の大きい増税策と言えます。

 

 

考えられるその他の不利益

 

「適格請求書を発行できないのなら、お宅と取引しない。」

 

突然このように、取引先から敬遠される事を恐れている事業者が最も多いのではないでしょうか。

 

「一般課税」による計算を行っている事業者が一律の経理処理を行うため、適格請求書発行事業者兼課税事業者でない事業者との取引を避ける可能性は充分考えられますよね。

 

 

とりうる対応策 

 

(1)「一般課税」による計算を行っている事業者(主に大手)との取引が多い場合

 

① 適格請求書発行事業者になり、登録番号を獲得する 

 令和3年10月1日から、税務署において登録申請が可能になります。国税庁:リーフレット

 

② 消費税課税事業者になる

上記の経過措置期間内に、適格請求書発行事業者になる申請書を提出した場合は、別途届出を提出する必要はないようです。

 

③ 益税部分の負担への対応 

益税とされていた部分を納税する必要がありますので、商品やサービス単価を再考する必要があるでしょう。

 

益税だった部分を納税する事にはなりますが、取引先に消費税の請求はできますから、結果的に適格請求書発行事業者兼消費税課税事業者になる選択をしたほうが多額の税金の払い損を抑えることになりそうですね。実際の判断については付き合いのある税理士等に相談されることを推奨します。

 

 

(2)一般消費者や「簡易課税」による計算を行っている事業者(主に中小会社)との取引が多い場合

 

とくに制度に対する対応策というのはなさそうです。

 

しかし、たまに「一般課税」による計算を行っている事業者との取引を行う場合には、消費税分値下げすることになりますから、付き合い方や価格設定については考えておいた方が良いかもしれません。

 

また、今後「一般課税」による計算を行っている事業者との取引を増やしたい場合には、あらかじめ適格請求書発行事業者兼消費税課税事業者となることを検討する必要があります。その年の適格請求書発行事業者の登録申請期間をすぎてしまうと、翌年まで適格請求書を発行する事ができませんので、その点にご注意ください。

 

 

用語解説 

 

適格請求書方式等保存方式とは?

これまで事業者が消費税計算をする際に、保存義務があった「区分記載請求書」に代えて、「適格請求書(インボイス)」を保管してね。という取り扱いのことです。

 

適格請求書とは?

現在の「区分記載請求書」に、「適格請求書発行事業者の登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

 

簡易課税制度とは?

中小事業者(課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、届出書を事前に提出している事業者)の事務負担を軽減するための制度です。

詳しくはこちら No.6505 簡易課税制度|国税庁

 

私自身の勉強のためにまとめているので、記事に間違いがあったらご自由にご指摘ください。

個人事業者としては制度が設けられる以上、今後の対応を考えなくてはいけませんので、誰かのお役に立てば嬉しいです。

 

今日はこの辺で。

 

 

更に詳しく知りたい方はこちら

インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁

特集 インボイス制度

 

 

フリーランス(免税事業者)の方向けに、インボイス制度の概要を調べたのでまとめます。 ①前提知識

こんにちは。

司法書士の廣澤です。

 

さて、今日は個人事務所やフリーランスの方にとくに関係する、「インボイス制度」というものが気になり、調べてみたので記事にまとめておきます。

 

あくまで国税庁のページを参考に私自身が勉強しながら記載しているものなので、正確に知りたい方は、国税庁のタックスアンサーを参考にしてください。

 

 

 

インボイス制度を知るための前提知識 

この記事では、そもそもインボイス制度を知る前に前提となる知識について記載しておきます。インボイス制度自体を知りたい方は次の記事をご覧ください。

 

 

(1)消費税の仕組み

 

f:id:shin-910710:20210716120559j:plain

消費税のしくみ|国税庁

 

簡単に言うと、消費者から受け取った税金を、受け取った事業者全員が各々で分担して国に納税するという仕組みですね。

 

 

小売業者に注目してみましょう。

 

11万円(税込)を支払った消費者から小売業者が受け取った消費税は1万円です。

この1万円を小売業者がそのまま国に納めればよさそうですが…そのような計算方法ではありません。

 

小売業者も卸売業者に対して支払った消費税を「仕入税額控除」として差し引きしたものを納税します。

 

上の表では7万7000円(税込)を仕入時に他事業者に支払っていますので、支払った消費税は7000円ですね。 

 

よって、1万円ー7000円となり、消費者の支払った消費税1万円のうち3000円を、他の事業者に代わって納税すればよい事になります。

 

 

なぜこのような計算になっているのかまでは調べられていませんが、要するに、事業者は仕入時に消費税負担はしておらず、消費者に代わって消費税の一部を国に納税しているという事になります。

 

しかし、先の「仕入税額控除」が書類不備等の理由により差し引きできなかった場合、実質事業者自身も消費税負担することになりますから、仕入税額控除をするための「①帳簿」及び「②請求書等(区分記載請求書等)PDF」は大切な保管書類だったというのがこれまでの取り扱いです。

No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項|国税庁

 

 

 

(2)簡易課税による消費税の計算

 

(1)で紹介したとおり、通常、消費税は【課税期間中の課税売上げに係る消費税額-課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額=消費税額】として計算をおこなうのが原則です。

 

しかし、この計算を行う場合は請求書等の保管も必要となり煩雑なので、一定期間の課税売上高が5,000万円以下の小規模の事業者であれば、事前に届出書さえ提出していれば、「簡易課税」という計算方法を用いることができる事となっています。

 

小規模事業者であれば、通常はこの方式を採用されているかと思います。 

 

簡易課税」の届出を行っている事業者は、次のような計算方法になります。

【課税期間中の課税売上げに係る消費税額(Z)-((Z)×みなし仕入率)】=消費税額】 ※みなし仕入率についてはこちら→消費税のしくみ|国税庁

 

 

この簡易課税を採用している事業者にとっては、このインボイス制度による影響はあくまで間接的なものになります。

 

しかし、インボイス制度により直接影響がある事業者は、一般的課税による計算方法(課税期間中の課税売上げに係る消費税額-課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額=消費税額)を採用している大手の事業者等ですから、大手取引先から今後の取引を敬遠される恐れがあることを踏まえると、結果的に事業者全体に影響することとなるという点はポイントですね。

 

 

 

 

(3)「請求書等」の保管方式が変更になる

 

これまでは「仕入税額控除」請求書保存の方法については、区分記載請求書保存方式がとられていましたが、令和5年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス)に変更になります。

 

f:id:shin-910710:20210716192357j:plain

 

簡易課税を採用していない事業者が「仕入税額控除」をするためには、帳簿及び一定の請求書等の保管が義務付けられていました。→PDF

No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項|国税庁

 

 

 

(4)免税事業者は消費税を納税しなくてよい。

 

f:id:shin-910710:20210716115623j:plain

 

消費者から預かった消費税を、事業者が分担して納税するというのが消費税の仕組みでしたが、そのうちの事業者が免税事業者に該当する場合、預かった消費税については納税しなくて良いことになっています。

 

自ら課税事業者になることもできるルール設計にはなっていますが、自らそんな選択をする事業者はこれまでいなかったのではないでしょうか。 

 

通常、毎年一定期間の課税対象の売上が1000万円を超えた場合や、2年前の年間売上が1000万円を超えた場合に自動的に課税事業者となります。

 

 

前提知識まとめ

前提となる知識をまとめます。
 

1.消費税は、消費者の支払った税金を事業者全体で分担して納税するという仕組み

 

2.消費税の計算には「一般課税」と「簡易課税」という方式があり、 

 「一般課税」を採用している事業者(主に大手)は、その仕入税額控除を行う際、

 「①帳簿」や「②請求書等」の記載、保管方法を守らないと控除が使えない

 

3.2.の「②請求書等」の記載、保管方法が、令和5年10月1日に変更になる。

  この方式のことを適格請求書等保存方式(インボイス)という。

 

4.免税事業者は受け取った消費税について納税しなくて良い。

 

これだけだとなんのことやらという感じですが、次の記事でこれらを踏まえてインボイス制度について掘り下げていきます。

 

私自身の勉強のためにまとめているので、記事に間違いがあったらご自由にご指摘ください。

 

個人事業者としては制度が設けられる以上、今後の対応を考えなくてはいけませんので、誰かのお役に立てば嬉しいです。

 

今日はこの辺で。

 

国税庁特集 インボイス制度

 

 

 

 

 

電気会社の切り替え

こんにちは。司法書士の廣澤です。 

 

今日は時事ではなく日常の事でもお話できればと思います。 

 

 

「電力の小売り全面自由化」が行われて早5年、

ようやく最近になって僕も自宅の電力会社を最近大手から別の電力会社に変更しました。 

 

ちなみに、切り替えをした電力会社というのがこちら。

 

hachidori-denryoku.jp

 

 

ハチドリ電力さんでは毎月の電気料金が割安になるのに加え、使用する電気は100%自然エネルギー(太陽光や地熱等)なので、地球環境に配慮した生活が可能になります。

 

さらにすごいのが、電気料金の1%を支援団体を選択して寄付、もう1%を自然エネルギー発電所建設資金として寄付するという仕組みになっています。

 

支援団体は自分で選択できますし、その数を増やしたり減らしたりすることも可能です。

 

これは本当に素晴らしいサービスですね。 

 

 

電気を使う我々消費者からすると、ただ割安に生活をするだけで自分が応援したい誰かの支援ができ、さらに地球環境にも優しい存在になれるわけです。気持ちの上では無償で存在を承認されているような感覚になります。

 

毎日仕事仕事という日々を送っていると、ただ目の前の人の役に立ち利益を追求するのみということになりがちですよね。

 

休日に気を抜いて環境破壊や社会的に公正でない組織のサービスに消費を行えば、その企業等の存在により、日頃の社会貢献により積み上げた徳は悪い意味であっというまにペイされます。

 

そこに無意味さを感じてました。

 

 

今後は消費の場面でも、なんらかの共感できる考え方を持った企業のサービスを利用するという、ある種の思想を持った消費活動が増えていきそうですね。というより、増えていけばいいなぁと思っています。 

 

ちなみに僕が支援をすることにした団体は、動物愛護の法人さん(その他いくつか)です。

 

うちの愛犬もそうですし、来月うちの家族に迎い入れるもう一匹のワンコも、保護犬を譲渡していただいています。まだ現役なので、活動自体に参加はできていませんが、微力ながらできる範囲で協力していければいいですね。

 

今日はこのへんで。

 

 

 

株式保有率51%のなにが問題なのか?

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

前回に引き続きレペゼン地球のDJ社長の話題について。

レぺゼン地球の元事務所社長反論「DJ社長に月200万円払った」(FRIDAY) - Yahoo!ニュース

 

 

 

 今回は、

 

2.株式保有率51%のなにが問題なのか?

 

について掘り下げてみましょう。 

 

 

 

そもそも株式保有率の前に株とは何でしょうか?

 

色々な見方があるので一概には言えないと前置きしておきますが、 

 

この記事では、出資額に応じて取得する会社の所有権又は支配権だとお考え下さい。

 

 

 

会社をAが51万円、Bが49万円出資して設立し、

 

株式の数を100株としたのならば、Aは51株、Bが49株を取得することになります。

 

出資額に応じて会社を持ち合いすることになっているというのがわかりますね。 

 

 

 

 

AとBは会社の所有者ですから、会社に対して自由に意見する事ができます。

 

しかし、株主が大勢いるような場合には誰の意見を聞けばよいのかがわかりませんし、

 

会社の方針決定や役員の決定などを行う際に株主全員の意見がバラバラだと会社運営が大変ですよね。

 

そこで、会社には株主総会という会社法で運営ルールが決められた機関がもうけられており、その運営ルールには次のようなものがあります。 

 

 

 

・普通決議
 定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の
過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
 

 

・特殊普通決議

普通決議の規定に関わらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。

 

 

そして、

 

 

・普通決議や特殊普通決議で決定できる事項 

 役員の選任解任 

 会計監査人の選任解任 

 役員報酬 

 

 

察しの良い方はもうお気づきだと思います。 

 

そうです。

 

 

 

50株と50株で持ち合っていれば特に問題ありませんでしたが、

 

株をA51株とB49株で持ち合っている会社で、AとBが役員として就任している場合には、Aの一存でBを解任することができます。 

 

 

 

1株持っているか持っていないかで全然違う取り扱いになるのですね。 

 

会社の株をより多く持っている人が、会社の方針決定に強い権限を持つことになるわけですから、会社をメインで運営していきたいのであれば必ず過半数の株式を保有しておくというのが基本になります。 

 

 

長くなったので今日はこのへんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レペゼン地球と雇われ社長について

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

レペゼン地球のDJ社長が最近話題ですね。

レぺゼン地球の元事務所社長反論「DJ社長に月200万円払った」(FRIDAY) - Yahoo!ニュース

 

 

この騒動の内容には踏み込みませんが、その中で皆さんも気になったのではないでしょうか。 

 

1.「雇われ社長」とは何か?

 

2.株式保有率51%のなにが問題なのか?

 

 

この2つを簡単に掘り下げてみましょう。 

 

今日は1.の「雇われ社長」についてお話します。

 

 

 

 

1.「雇われ社長」とは何か?

 

前提として

 

 

会社の所有者は株主です。

 

株主はお金を出資する代わりに会社の利益がでれば出資額に応じた配当がもらえますし、売却すれば値上がり益を狙うことができます。

 

 

経営者は株主に出資してもらったお金を利用して利益を出します。

 

利益が出た場合には相応の報酬を貰えるというそんな立場です。

 

このように会社を運営するのは経営のプロである社長です。

 

 

 

ちいさな会社であれば経営者と株主は同一人物なのですが、

 

株主であるオーナーと手を動かす経営者に分かれていることもあります。

 

この場合の経営者が雇われ社長です。 

 

 

 

誤解を恐れずに言えば、リスクや責任を背負うかわりに多くの報酬がもらえる、

 

会社員に近い立場ですね。

 

 

 

社長は会社の持主である株主から頼まれて、

 

利益をだすために経営を頼まれている委任関係なので、株主は経営者をクビにすることもできますし、

 

役員の入れ替えをすることもできます。

 

 

 

そもそも自分の持ち物である会社の運営を他人に任せているだけであり、

 

その役員を変えられるのはその立場上当然のことです。

 

 

 

 

 

 

このような関係を踏まえたうえで、実際によくあるケースについて考えてみましょう。

 

 

 

「経営者にならない?俺がお金だすからさ」

 

このように若者に話を持ち掛ける人がいたとします。

 

 

誘っている人の心理はこんな感じでしょう。

 

(こいつは骨のある若者だしビジョンも良い感じだから、投資すれば儲けられそうだな…)

 

 

逆に若者側の心理はこんな感じでしょう。

 

(社長になれる。お金なら出してくれるって言ってるから、頑張ってみようかな)

 

 

 

若者はその誘いに同意し取締役に就任、

 

そこから10年で会社をうまく運営し会社に多額の利益を生み出しました。 

 

 

しかし、会社の立ち上げ当時と現在では会社の規模も組織構造も変わったので、

 

株主はこの若者では経営が難しいのではと考えて外部から別のプロ経営者を雇いたいと思うようになりました。 

 

 

そしてある日、オーナーが突然若者経営者に告げます。

 

 

 

「君には会社をやめてほしい。退職金は渡すからさ。」

 

 

 

若者からすれば、今まで一生懸命頑張ったのも自分、リスクをとってきたのも自分、

 

戦ってきたのも自分なのに、いきなりクビというのはおかしい!! 

 

となりますよね。

 

 

 

けれど、このオーナーのいう事はなんら間違ってはいないという事になりますし、

 

その決定には逆らえません。

 

 

 

 

自分のお金を資本金として会社をおこし、お金を借りて事業運営をするなりして、

 

お金を全額返済したのならその会社は若者のものでした。 

 

 

 

しかし、設立時に出資してもらったのであれば、そのお金は返さなくても良い代わりに、

 

その会社の持ち主である出資者に頼まれごとされている状態と同じことになります。

 

 

 

会社の出資を全額第三者にしてもらうという事は、

 

その他人のためにリスクをとって努力するのと同じです。 

 

 

 

他人があなたを経営者に誘うのは、その他人があなたを利用して儲けたいからです。

 

あなたを助けたいからではありません。

 

 

こういう後々のすれ違いを防ぐために、

誰に事前相談しておけばよかったかというと、弁護士や司法書士です。

 

 

なぜかというと、会社運営や組織、契約などあらゆる会社を取り巻くその根拠は、

法律だからです。

 

 

契約をする前段階や、経営者になる前に一度でも法律の専門家に

 

「これって法律としてどうなんですか?」

 

と相談していただけていれば、後々のすれ違いによるトラブルは避けられたのではないかなと個人的には思います。 

 

 

法律の理解をしていないまま会社を運営するのは、

サッカーのルールをしらないままフィールドにでているのと同じです。 

 

 

専門家の友人や知人が一人は周囲にいる環境を作るのが、経営者としては結構重要なのでは…と思った次第でした。 

 

 

次回は51%株主についてお話します。

 

 

 

今日はこのへんで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしも夫が失踪したら

こんにちは。司法書士の廣澤です。 

 

今日はこのニュースについて

「もしも夫が突然失踪したら」

もしも夫が突然失踪したら… 残された家族を襲う金銭面の不安と苦労(マネーポストWEB) - Yahoo!ニュース

 

統計を見たわけではないので定かではありませんが、 

年間約9万人もの人が行方不明になるそうです。  

 

 

家族の大黒柱である父親が行方不明になってしまったとき、

配偶者や子供たちが今後の生活費をどうしていくのかというのが問題があります。

 

 

このような場合の対応策の一つとして、「不在者財産管理人」の選任という方法があります。不在者財産管理人選任 | 裁判所

 

不在者財産管理人というのは、本人や不在者の財産に権利を持つ方を守るための制度であり、まさに配偶者や子供たちは婚姻費用や養育費などの請求権を持つ方々ですから、そのために申し立てることができ、弁護士などがその任に就きます。(予納金は30万円)

 

こうしてようやく、本人の財産から生活費を貰うことができるようになります。 

 

 

失踪してから7年以上経過し、生死さえもわからないのであれば、「失踪宣告をする」という方法もあります。失踪宣告 | 裁判所

 

こちらは不在者としてでなく、亡くなったものとみなしてしまうことで法律関係を安定させるための制度です。失踪宣告にもとづいて相続手続きを行うことができるという事です。

 

もちろん、本人が戻ってきたら全額とはいきませんが、財産はお返しするという事になります。 

 

今日はこのへんで。

 

 

 

根抵当権と抵当権の債務者は違う

こんにちは。司法書士の廣澤です。 

 

 

根抵当権の債務者と抵当権の債務者の変更について簡単に。

 

 

WEBページで解説しましたが根抵当権の債務者と抵当権の債務者は全く別物です。

 

根抵当権とは【わかりやすく解説】 | 不動産登記の事ならオアシス司法書士事務所| 横浜市瀬谷区・旭区

 

根抵当権の債務者は、担保する箱にいれる債権の条件を指していて、

抵当権の債務者は、担保する債権を特定するための情報を指しています。 

 

根抵当権において大切なのは「箱」

抵当権において大切なのは「担保する債権」

 

という組み分けがされているので、同じように考えると色々なところでトラップに引っかかってしまいます。これら担保権の登記をしなければならない場合は、司法書士にご相談くださいね。

 

 

 

さて、ここからは専門家や受験生向けに、その点を踏まえて取り扱いで思いつくものをいくつかお役にたてばと思い記載しておきます。

 

・債務者変更を行う場合に印鑑証明書の提出が必要か。

抵当権は不要。根抵当権は必要。

 

・抵当権・根抵当権を抹消する場合に債務者の住所氏名変更が必要か。

不要。

 

・抵当権・根抵当権の債務者の住所氏名変更は一括申請できるか?

できる。

 

・抵当権・根抵当権の債務者のABCと移転している場合、最後の住所移転のみの登記をすることができるか。

抵当権はできる。根抵当権はできないので1件ずつ申請。 

 

・抵当権・根抵当権の債務者ABをBにする場合、債務者ABの住所氏名変更を省略できるか。

できない。 

 

・抵当権・根抵当権の登記原因を異にする複数の債務者の住所氏名変更は一括申請できるか。

できない。

 

・抵当権・根抵当権の登記事項に変更があった場合の追加設定において、前提として登記事項の変更登記が必要か。

抵当権は不要。根抵当権は必要。

が、抵当権の実際の取り扱いは法務局に照会すべき。

 

 

今思いついただけでもこの量…

手続きのたびに実務書を読み漁って確認する必要がありますね。。

 

今日はこのへんで。