こんにちは。司法書士の廣澤です。
レペゼン地球のDJ社長が最近話題ですね。
レぺゼン地球の元事務所社長反論「DJ社長に月200万円払った」(FRIDAY) - Yahoo!ニュース
この騒動の内容には踏み込みませんが、その中で皆さんも気になったのではないでしょうか。
1.「雇われ社長」とは何か?
2.株式保有率51%のなにが問題なのか?
この2つを簡単に掘り下げてみましょう。
今日は1.の「雇われ社長」についてお話します。
1.「雇われ社長」とは何か?
前提として
会社の所有者は株主です。
株主はお金を出資する代わりに会社の利益がでれば出資額に応じた配当がもらえますし、売却すれば値上がり益を狙うことができます。
経営者は株主に出資してもらったお金を利用して利益を出します。
利益が出た場合には相応の報酬を貰えるというそんな立場です。
このように会社を運営するのは経営のプロである社長です。
ちいさな会社であれば経営者と株主は同一人物なのですが、
株主であるオーナーと手を動かす経営者に分かれていることもあります。
この場合の経営者が雇われ社長です。
誤解を恐れずに言えば、リスクや責任を背負うかわりに多くの報酬がもらえる、
会社員に近い立場ですね。
社長は会社の持主である株主から頼まれて、
利益をだすために経営を頼まれている委任関係なので、株主は経営者をクビにすることもできますし、
役員の入れ替えをすることもできます。
そもそも自分の持ち物である会社の運営を他人に任せているだけであり、
その役員を変えられるのはその立場上当然のことです。
このような関係を踏まえたうえで、実際によくあるケースについて考えてみましょう。
「経営者にならない?俺がお金だすからさ」
このように若者に話を持ち掛ける人がいたとします。
誘っている人の心理はこんな感じでしょう。
(こいつは骨のある若者だしビジョンも良い感じだから、投資すれば儲けられそうだな…)
逆に若者側の心理はこんな感じでしょう。
(社長になれる。お金なら出してくれるって言ってるから、頑張ってみようかな)
若者はその誘いに同意し取締役に就任、
そこから10年で会社をうまく運営し会社に多額の利益を生み出しました。
しかし、会社の立ち上げ当時と現在では会社の規模も組織構造も変わったので、
株主はこの若者では経営が難しいのではと考えて外部から別のプロ経営者を雇いたいと思うようになりました。
そしてある日、オーナーが突然若者経営者に告げます。
「君には会社をやめてほしい。退職金は渡すからさ。」
若者からすれば、今まで一生懸命頑張ったのも自分、リスクをとってきたのも自分、
戦ってきたのも自分なのに、いきなりクビというのはおかしい!!
となりますよね。
けれど、このオーナーのいう事はなんら間違ってはいないという事になりますし、
その決定には逆らえません。
自分のお金を資本金として会社をおこし、お金を借りて事業運営をするなりして、
お金を全額返済したのならその会社は若者のものでした。
しかし、設立時に出資してもらったのであれば、そのお金は返さなくても良い代わりに、
その会社の持ち主である出資者に頼まれごとされている状態と同じことになります。
会社の出資を全額第三者にしてもらうという事は、
その他人のためにリスクをとって努力するのと同じです。
他人があなたを経営者に誘うのは、その他人があなたを利用して儲けたいからです。
あなたを助けたいからではありません。
こういう後々のすれ違いを防ぐために、
誰に事前相談しておけばよかったかというと、弁護士や司法書士です。
なぜかというと、会社運営や組織、契約などあらゆる会社を取り巻くその根拠は、
法律だからです。
契約をする前段階や、経営者になる前に一度でも法律の専門家に
「これって法律としてどうなんですか?」
と相談していただけていれば、後々のすれ違いによるトラブルは避けられたのではないかなと個人的には思います。
法律の理解をしていないまま会社を運営するのは、
サッカーのルールをしらないままフィールドにでているのと同じです。
専門家の友人や知人が一人は周囲にいる環境を作るのが、経営者としては結構重要なのでは…と思った次第でした。
次回は51%株主についてお話します。
今日はこのへんで。