こんにちは。司法書士の廣澤です。
今日は表題の「会社の乗っ取り」について
年末頃に、知らない間に会社を乗っ取り(代表者を解任され、新しい役員が就任)されていたというニュースがありましたが、どういうことなのかを考えてみます。
まず、役員変更の際には、代表者交代の方法として、次の方法があります。
①代表者辞任 → 新たな役員就任
②代表者解任 → 新たな役員就任
勝手に乗っ取りされていたということは、この手続きを勝手にされていたということになりますが、役員変更には登記手続が必要ですね。
その際、①は代表者の会社実印又は個人実印が必要なので登記することは困難に思えます。
②については、監査役は違いますが、株主の過半数の同意があれば行うことができます。しかし、通常は現代表者が株主でしょうから、こちらも同意を得るのは難しいでしょう。
しかし、代表者がずぼらな人で、会社実印が自由に持ち出しできたらどうでしょうか?
商業登記の押印義務要件はかなり緩いので、実はこれだけで上記の手続きを勝手に進められます。
例えば、乗っ取りを企てた人はまず、辞任届や解任の株主総会があったかような書類をつくり、登記します。(この時点で、公文書原本不実記載罪です)
その後、バレないうちに代表者の地位を利用して、不動産を売却して横領したり、銀行から預金を移したりと、あの手この手で財産を横領するわけです。
日本で生活している個人ならすぐに見つけられそうですが、国外に逃げられれば追うのは難しそうですね。
ニュースの件は解任通知がきたことで分かって事なきをえたようですが、会社実印を従業員に渡す際には、最新の注意が必要ですね。
また、登記実務においては、代表者が交代する際にはいろいろな意思確認のパターンを考えなければならないなと思った次第でした。
では、今日はこの辺で。
オアシス司法書士・行政書士事務所 | 相続遺言・贈与・財産分与・会社登記 ・不動産登記
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