よこはまの司法書士日記

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相続登記の義務化の認知度

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

 

現時点での、相続登記義務化の認知度のアンケートが公開されていますね。

 

相続登記の義務化・遺産分割等に関する認知度等調査 調査結果の概要 令和4年9月-法務省民事局

 

 

Q1 令和6年4月から、不動産を相続した場合には登記申請をすることが、法律上の義務になることを知っていますか。

 

A 相続登記の義務化 を 「よく知らない」 「全く知らない」 と答えた人は、約 66 %

なぜか、最も知っていた世代は20代で、最も知らなかった世代は40代とのこと。

 

 

Q2 相続した不動産の登記申請が義務化されることに伴い、負担の軽い「相続人申告登記」という新しい手続が導入されることを知っていますか。

 

A 相続人申告登記 を 「よく知らない」 「全く知らない」 と答えた人は、約 81 %

相続人申告登記とは、過料を免れるための救済措置のことです。相続登記にはお金も手間もかかるので、一旦相続人申告をしておくことで、過料を免れることができるようになります。とはいえ、後日、結局は相続登記が必要になるので、専門家は推奨しないでしょう。

 

Q3 令和5年4月から、相続した土地のうち不要なものを、一定の条件を満たせば、国庫に帰属させることができる制度が始まることを知っていますか。 

 

A 相続土地国庫帰属制度 を 「よく知らない」 「全く知らない」 と答えた人は、約 84 %

原野商法の不動産など、処分に困る不動産を相続放棄以外の方法で手放せるようにするための制度です。一定の条件に当てはまれば国が不動産を引き取ってくれるということです。

 

Q10 今後、あなたが相続することになった場合、様々な相続の問題について、誰に相談すると思いますか。 

 

A この回答は気になったので画像を共有しておきます。

一定数、一般事業者(銀行、不動産会社、葬儀社、その他の専門資格者)に相談するという方がいらっしゃいますが、相続や遺言など重要な手続きに関する相談を一般事業者にしてしまうと、知識差で足下を見られかねないので、最初の窓口は自治体などをとおして説明してもらう事をお勧めします。

 

 

では、今日はこのへんで。

遅延損害金の計算ツール

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

遅延損害金と利息の計算がややこしすぎて困っている方はいないでしょうか。

便利ツールを見つけたので共有しておきます。

 

法務省:遅延損害金計算ソフトウェアのダウンロードについて

 

期限の利益喪失の特約がある場合などは弁済期はいつになるの?という実務上のちょっとした悩みもあると思いますが、ほとんど面倒な計算部分はこのソフトでなんとかなります。

 

ちなみに、供託書に書く遅延損害金については、小数点第3位まで記入が必要だそうで、供託官から指摘されました。

 

こういう便利ツールはどんどん世にだしてほしいですね。ありがとうございます。 

 

では、今日はこのへんで。

 

 

生活保護費の計算

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

今日も後見のことで。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000776372.pdf

 

以前、後見業務で生活保護申請が却下されました。

 

しかし、上記表の計算をしてみたところ、提示された最低生活費よりも、最低生活費はもっと多いのでは?という疑問があり、役所で聞いてみました。

 

回答としては、入院した場合や区分等で計算式が変化するとのことです。では、計算が苦手な人は、実際に申請してみないことには申請がとおるかわからないということでは?とあきらめていたところ、次のようなソフトを発見しましたので共有しておきます。

 

http://kobekoubora.life.coocan.jp/saiteiseikatuhikeisan.html

 

このツールを使うと、簡単に実際の最低生活費をはじき出すことができます。

いやー、こういったツールって便利ですね。

 

では、今日はこのへんで。

 

 

葬儀社の選定

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

最近、後見業務で不思議に思ったことがあります。

 

横浜市の病院や施設で、ご本人がお亡くなりになった際の葬儀社についてどこか提携はあるか尋ねると、きまって同じ葬儀社を紹介されます。

 

「紹介料は受け取っていない」と担当の方は言っていましたが、では、なんなのでしょうね。

 

社会福祉法人ではなく、株式会社が運営する介護施設しかり、葬儀社にしても、それぞれなんとなく怪しい感じがするので、いろいろと調べてみて、また、何か分かれば記事にしようと思います。 

 

今日はこのへんで。

 

 

 

 

 

 

 

法務省通達

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

法務省が最近の通達などをまとめてくれたようです。

 

法務省:不動産登記関係の主な通達等

 

とくに、租税特別措置法第84条の2の3第2項は実務で使う場面が増えましたね。 

被相続人様が私道をお持ちだった場合は、ほぼほぼ該当するのではないでしょうか。

 

私はもう「そぜい」と打ち込むと、単語登録で「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」がでてくるようにしています。

 

登録免許税1000円、2000円の世界ではありますが、割引がなにもないよりはよいですね。

 

では、今日はこの辺で。

 

 

 

法定相続情報証明

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

法定相続情報一覧図という便利な制度ですが、最近、家裁に対して申立てを行う場合に、法定相続情報一覧図を提出すると次のようなことを言われました。

 

「相続人が生存しているか確認するため、相続人の現在戸籍の原本を添付してください」

 

どんな時にこのようなことを言われるかというと、法定相続情報一覧図の作成日から相当期間が経過している場合です。(管轄によっては期間が経過してなくても必要かもしれませんが) 

 

法定相続情報作成当時には、相続人が生存していたということが分かったとしても、現時点で生存しているかはわからないためということですね。

 

家裁としては通知を行う際に相続人がすでに亡くなっていた場合、さらにその相続人に対して通知しなければなりませんから、当然といえば当然ですね。すっかり見逃しておりました。

 

しかし、法定相続情報証明にも期間制限があるとなると、相続手続きにおいてはまだまだ面倒なところが残っているなぁと思った次第でした。

 

今日はこのへんで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症不動産専門の買い取りサービス

こんにちは、司法書士の廣澤です。

 

最近、恐ろしいサービスをネットで見つけましたので、注意喚起のために記事を書いています。

 

 

認知症不動産専門の買い取りサービス!?

 

インターネットでびっくりする宣伝をしている事業者がいました。

 

司法書士に登記を拒否された方、登記を本人申請で行って弊社で買い取ります。」

 

 

 

この広告の何が恐ろしいのか、簡単にご説明します。 

 

まず、民法には次のように定められています。 

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

 

よって、司法書士は不動産の取引の際、売主の判断力に問題ありと判断した場合、登記申請を拒否する事があります。認知症の疑いがある方の売買はストップするということです。登記申請以前にその売買契約が無効である可能性があるからです。

 

シンプルに考えてみても、売ることを理解することができない方の周囲の親族等が同意したからといって不動産売却をすすめてしまうのは、本人から不動産を奪っているのと変わりませんよね。

 

上記宣伝の趣旨は、意思能力が全くなかったとは言えない状況の時に契約をしたのだとして、手続きを行うという事だと思います。司法書士は医師ではないので、本人の意思能力を正確に診断することなどはできませんからね。方法としては、かかりつけ医師の診断書を取得すること等が考えられますが、実際にすべての事業者がそこまで行っているかは疑問です。

 

 

 

では実際に契約当時、本人の判断力が全くなかったのにもかかわらず、売買をすすめてしまった場合、どうなってしまうでしょうか?

 

答えは条文どおり、どこまでいっても無効です。もちろん、その登記も無効です。

その他、問題点が多すぎるので、重要なところを箇条書きにしてみました。

 

 

 

1.買取り事業者が継続的に業として登記申請を行うことは、登記手続きは本人申請が許されているので、その傘の下ではグレーですが、以前同様の事業者が逮捕されていたことなどからも、司法書士法違反である可能性が高いといえます。つまり、高確率で犯罪組織です。

 

2.こういった不動産事業者の買取り価格は、まず間違いなく適正な価格でもないでしょう。売主にとっても関わる事自体がデメリットです。

 

3.認知症のAさん→買取業者→Bさん→Cさんと不動産が渡ったとしても、認知症Aさんの症状にもよりますが、買取り業者との契約はいつまでも無効なので、利害関係者のどなたかが無効主張した瞬間、あっという間に泥沼化するでしょう。

 

4.恐らく、Bさん、Cさんが損害賠償請求をする頃には、買取業者は倒産するなどしていると思いますから、不動産を購入する際には、これまで以上に注意しなければならなくなります。こういう事業者が今後増えれば、不動産の登記簿は全く信用できないという事になるでしょう。

 

5.認知症のAさん→不動産屋が買取り→Cさんに転売後、不動産屋がすぐに倒産、そのタイミングでAさんの親族が契約を無効主張し、不動産屋にはお金を返さず、Cさんだけ住宅ローンだけが残り、不動産もAさんに奪われ泣き寝入りという通謀虚偽表示のスキームを提案する事業者も出てくる可能性があります。

 

 

簡単にまとめると、将来にわたってその不動産は訴訟リスクが高い状態が続くという事です。しかも、買主はそれを調べるのが難しいというオマケつきです。

 

登記は本人申請が原則可能で、かつインターネットが発達していますから、こういう事業者も出てくるのではと思っていましたが、ついに出てきましたね!(昔からいたのかもしれませんが…)

 

 

買主が被害にあわないために、考えられる対策 

1.不動産を買うときは、登記簿の確認だけでは足りない。徹底的に売主を調べる。

2.不動産買取りを上記手法で行う業者からは、不動産を買わない。 

3.士業がダメだといったことを、安易に行わない。

4.売り主に、過去の売主の情報についても説明義務を課すなど特約をつける。

5.過去に不動産の所有権移転登記が本人申請で行われたものかどうかを確認する。

 

実際には難しいものも含まれますね…。

では、今日はこの辺で。