よこはまの司法書士日記

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登記の先例?債務者の変更の前提となる登記について

こんにちは。司法書士の廣澤です。 

 

 

本日はちょっと実務の小話について。

不動産登記法を深く学んだとしても、実務で悩まされるのは、登記の先例です。

 

先例とは、一般的には、「通達」による法務局内部の取り扱いと、登記案件ごとに司法書士などが法務局に照会した際の「回答」を合わせたものを指しています。

 

法律は大枠を、先例で規則よりもさらに細かい部分を決めていくという建付けになっているわけです。 

 

そして、最近ちょっとびっくりしたのが次の2つの先例です。。。

 

 

■ 抵当権の連帯債務者の住所変更に伴う抵当権の変更の登記の手続

 

要旨 抵当権の連帯債務者A及びBが日を異にして同一の住所に移転した場合にする抵当権の変更の登記は,一の申請情報によって申請することはできず,登記の目的及び登記原因ごとにそれぞれ個別に申請しなければならない。

 

問  抵当権の連帯債務者A及びBが日を異にして同一の住所に移転した場合において,当該A及びBの住所の変更に伴う抵当権の変更の登記の申請をするときは,不動産登記令(平成16年政令第379号)第4条ただし書に規定するとき及び不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第35条各号に掲げるときのいずれにも該当しないため,一の申請情報によって申請することはできず,登記の目的及び登記原因ごとにそれぞれ個別に申請しなければならないと考えますが,いかがでしょうか。 答  御意見のとおりと考えます。

 

■ 抵当権の債務者表示変更登記の省略

 

要旨 抵当権の債務者変更登記を申請するに当たり、登記簿上の債務者の住所氏名に変更が生じている場合は、その表示変更登記を省略する扱いは認められない。根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様である。

 

問 債務引受等による抵当権の債務者変更登記を申請するに当たり、変更前の債務者の住所氏名に変更を生じている場合は、その表示変更登記を省略する扱いは認められないと考えますが、いかがでしょうか。便宜、省略できるのではないかとの意見もありますので、お伺いします。また、根抵当権の債務者の変更登記を申請する場合も同様に考えて差し支えないでしょうか。

 

答 御意見のとおりと考えます。

 

 

 

わかる人にはおわかりかと思いますが、

抵当権の債務者の表記というのは根抵当権の債務者の表記と違って、被担保債権を特定する意味合いしかないので、わざわざ住所変更する必要はないと理解していたのですが、実務ではそうではないようです。

 

例えば抵当権が登記されている場合を例に出してみます。

Aが丙市に、Bが丁市に別日に引っ越しをしていた場合、どんな登記になるでしょうか?

ーーー

1番抵当権

債務者    住所 甲市  

       名前 A

抵当権者   Z 

ーーー

登記はこうなります。

1.Aの住所変更登記

2.債務者変更登記

 

次に、「債務免除」を原因として、Bが単独債務者となる変更登記をするのが目的とします。Aが丙市に、Bが丁市に別日に引っ越しをしていた場合、どんな登記になるでしょうか?

ーーー

1番抵当権

連帯債務者  住所 甲市  

       名前 A

 

連帯債務者  住所 乙市  

       名前 B 

抵当権者   Z 

ーーー

 

そうです。。。

 

1.Aの住所変更登記

2.Bの住所変更登記

3.債務者変更登記 

 

となります。

1~2が同時に申請できないのは、「一括申請の根拠がないから」です。

また、3の前提として1~2が省略できないのは先例の取り扱いという事になります。

 

 

ペアローンなどで抵当権が複数あれば上記3件×抵当権の数となります。

登録免許税は不動産の数×1000円です。

敷地権がもし9個あるマンションなら、3万円×抵当権の数ですよ(高い。箱根旅行に行ける。。)

 

「なんで印鑑証明書も添付しないレベルの債務者変更でそんなに厳格なの?」と思ったりもしましたが、従わざるを得ません。。

 

 

今日はこのへんで。