よこはまの司法書士日記

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強力な使用貸借契約

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

今日は、最近考えたことでも。

使用貸借については、受験知識で誰でも知っていますが、条文を読んだだけだと、借りている人が死亡した場合も含め、一方的に、簡単に解除できそうに読めますよね。

しかし、実務において、建物所有目的の使用貸借の場合は、ほぼ借地権なみの効力を有する裁判例があり、そう簡単に解除ができいないようです。

 

第六節 使用貸借
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。諾成契約
(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除)
第五百九十三条の二 貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
(借主による使用及び収益)
第五百九十四条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
2 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
3 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。
(借用物の費用の負担)
第五百九十五条 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
(貸主の引渡義務等)
第五百九十六条 第五百五十一条の規定は、使用貸借について準用する。
(期間満了等による使用貸借の終了)
第五百九十七条 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
2 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
3 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
(使用貸借の解除)
第五百九十八条 貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
(借主による収去等)
第五百九十九条 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。
2 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
3 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第六百条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

 

判例の一例

・598条の「目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したとき」について、木造建物であっても、建物所有目的とした場合には、30年を超える期間を要するとしたもの

・建物が立っている土地を買った人が、建物収去土地明け渡し請求を行った場合に、その行為が権利の濫用にあたるとして、請求棄却したもの

・立ち退き料の支払いを条件としたもの

・使用貸借は時効取得の対象となるとしたもの

・借主が死亡しても、建物所有目的の場合は、特別の事情がない限り、使用貸借が当然に終了するものではないとしたもの

 

借主死亡による使用貸借の終了の条項も、任意規定なので、継続する合意があったと主張されてしまうと、困りそうですね。

 

以上、いろいろあげてみましたが、借主は無料で借りているだけなのに、強力に守られていますね。しかし、家族のように仲の良い知人に、土地を貸してあげたというのがスタートだったとして、この問題に巻き込まれるのは、購入者や貸した方の相続人です。

使用貸借・占有者がいる土地を購入しようとお考えの会社様などは、要注意ですね。不動産購入時には、現地確認が必須です。

 

また、現在、使用貸借をされている方は、土地を借りている人に購入してもらうなどを検討されたほうが、今後のためには無難ではないかと考えました。

 

では、今日はこの辺で。

 

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