よこはまの司法書士日記

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登記申請を違法に行う事業者と通報先について

こんにちは。司法書士の廣澤です。

 

日本には、弁護士・司法書士・税理士など様々な士業があります。

そして、これらの士業ごとに、独占業務を規定する法律があります。この「独占業務」とは、法律で規定している士業以外は、その業務をしてはいけない規定のことです。

 

 

例えば、税理士以外の者が税務上の具体的なアドバイスを業として行うことは禁止されています。 

 

「税理士が教えない〇〇な節税方法」といったアドバイスを行っているコンサルタントや、無資格で確定申告代行をおこなった事業者が、実際には申告していなかった(又は脱税アドバイスをしていた)などでトラブルになった例を見かけますが、彼らはもちろん違反事業者です。

 

 

 

司法書士の独占業務 

 

司法書士法第3条に定められている業務が独占業務とされていますが、その一部を抜粋します。 

 

(業務)
第三条  司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
① 登記又は供託に関する手続について代理すること。
② 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成することただし、同号に掲げる事務を除く。
(以下略)

 

上記のうち法務局に提出書類の中に、不動産登記や会社登記の申請書及びその添付書類、遺言書保管申請書、供託書などが含まれています。 

 

例えば登記に利用する株主総会議事録や売買契約書なども、業として行う場合には事業者は申請人の代わりに作成することできないという事です。

 

 

よって、司法書士以外の税理士や行政書士、不動産業者などが業として法務局に提出する添付書類や申請書を作成して代わりに手続きを行う(本人申請の建前で申請する場合も同様)ことは、司法書士法違反となります。

 

 

実際に、行政書士や不動産業者が多くの登記申請を行い、逮捕される事案がありました。悪質な場合は登記書類を作って本人申請の建前で目立たないように業務を行っているようです。これらは氷山の一角にすぎないでしょう。

 

無資格で不動産登記の疑い 男らを再逮捕(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 

無資格で会社登記申請 容疑の行政書士ら逮捕 在留資格取得目的か 千葉県警 | 千葉日報オンライン

 

 

 

独占業務がある理由

主に国民の権利や財産、身体、生命の保護を目的として、独占業務が定められています。司法書士や弁護士は権利を、税理士や会計士は財産を、医師は身体や生命を保護するために存在します。

 

知識のない人が、人体にメスをいれる手術をしたり、税務申告の際税金をちょろまかしたり、嘘の登記を行って取引の安全をおびやかしたりするなど、国民の権利、財産、身体、生命が常に危険にさらされ、安全なサービスが担保されなければ、社会が混乱してしまいますよね。

 

もちろん、その分一般の事業者と比較して重い責任を課せられており、誠実義務に違反すれば最悪懲戒処分を受け、その地位をはく奪されます。 

 

 

独占業務違反を見つけた時の通報先 

 

上記のように、無資格者が反復継続して独占業務を行うことは、車の無免許運転と同じで犯罪です。

 

また、独占業務違反をする事業者というのは、継続的にその他の犯罪にも手を染めている可能性がありますから、不当に高額な請求をしてきたり、中抜きの紹介料などを受け取っている可能性も考えられます。野放しにしておくのは地域社会にとってもよくないことです。

 

・登記書類を作ってもらったが、自分で法務局に行くように言われた。(または法務局で待ち合わせすることになった)

・登記代行、登記相談、登記書類作成を依頼した相手が、司法書士ではないことが判明した。
司法書士と提携していると説明されたが、実際は司法書士でない者が業務を行っていた。
司法書士(法人)でないにもかかわらず反復継続して登記業務を請け負っている者(法人)がいる。

 

その事業者の監督団体は機能していないことが大半ですから、このような場合は、神奈川県司法書士会の次のページから通報して下さい。

 

 

www.shiho.or.jp

 

 

以上、参考になれば幸いです。